2020/04/22
1.予防(無症状病原体保有者)
これは、中医からの報告には記載されていませんが、予防は肝心です。
手洗い、うがい、不要不急の外出を避けることももちろん重要ですが、
漢方薬には免疫力を上げる働きも報告されています。
このような働きを持つ漢方薬を補剤と言って、免疫システムを活性化します。
無症状病原体保有者の病原体陰性化の促進も期待できます
・補中益気湯
動物実験より、補中益気湯はインターフェロン自体の産生を抑制すると報告されています。
・十全大補湯
我々のヒト対象の研究では、十全大補湯服用によってNK細胞機能が改善されることが分かっています。
また、抑制系も活性化されることから、過剰な炎症の予防も予想されます。
2.清肺排毒湯(軽症、中等症、重症患者)
幅広い病態に用いることができます。
中国からの最新のエビデンスについては後述します。
清肺排毒湯は、漢代の張仲景が著した『傷寒雑病論』にある、
寒湿邪によって引き起こされる外感熱病=感染症に対する処方である、
麻杏甘石湯、射干麻黄湯、小柴胡湯、五苓散を組み合わせたものが基本とされています。
基礎方剤:麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15~30g(先煎)、桂枝9g、
澤瀉9g、猪苓9g、白朮9g、茯苓15g、柴胡16g、黄芩6g、姜半夏9g、生姜9g、
紫菀9g、冬花9g、射干9g、細辛6g、山薬12g、枳実6g、陳皮6g、藿香9g。
清肺排毒湯は、日本のエキス製剤にはありませんが、エキス製剤を組み合わせて同様なものを作ることができます。
・麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏 左3剤を一緒に服用
COVID-19感染症に対する漢方治療の考え方
金沢大学附属病院漢方医学科 小川 恵子